- 議論の整理・・・
「ヒト」「モノ」「カネ」の移動によって生じる経済活動を分析するに当たって、その内部に位置する労働者がどの様に組織間を移動するかを分析することは、企業の活動におけるマーケティング戦略と同様に重要なものである。終身雇用制度が崩壊しつつある日本において、組織間を移動する技術者はどの様な動機によってそれを行うのか。それを研究することは、日本における労働市場の発達に寄与するものである。
- 問題発見・・・
では、日本の労働市場において組織間移動をどのように分析することができるだろうか。
- 論証・・・
私はこれらの問題を解決するためには、日本の労働市場に対する理解を前提とし、それぞれの労働者がどの様な動機付けで移動してきたのかを個々で分析する必要があると考える。
たとえば、労働経済学の専門家である村上由紀子教授は、技術者の組織間移動を次の様に分析している。
組織間移動のパターンによって技術者の転職理由は異なる。すなわち、民間から国研の場合はより幅広い研究の自由度を求め、また、大学から国研の場合はよりよい研究環境(設備、予算、スタッフなど)を求めポジティブな転職が行われる傾向があるが、民間企業間で転職する場合は、スカウトが行われるのでない限り、前の勤務先の問題が転職理由の中心になり、不満に後押しされた形の転職が行われる場合も多い。[1]
その上で,次の様に結論付けている。
技術者市場は民間と国研などの研究機関とでは異なる構造を示している。[1]
- 結論・・・
そこで、日本における労働市場について、組織間移動を専門的に研究するため、労働経済学について専門的知識に富む貴学政治経済学部の村上由紀子教授の下で、上述の問題点を整理するべく組織間移動の動機付けについて研究を深めたいと考えている。
貴学政治経済学部の村上由紀子研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学政治経済学部に入学し村上由紀子研究会に入会することを強く希望する。
[1]村上由紀子著『労働移動と労働市場に関する経済学的研究 : 研究開発技術者を中心に』(2005)
コメントを残す